ようこそ登録文化財へ 寺西家阿倍野 長屋・町家
築70年の長屋・町家を再生して、嬉しかったこと! *寿命ある建物を壊して、ゴミにしてしまわなかったこと *建築家、宮大工、恩師や友人、近隣の人達との和のつながりができたこと。
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2.長屋が文化財に
(1)登録文化財とは    

7-2-1登録文化財の指定が、平成15年9月に新聞で公表され、必ず問われることがある。
 それは、「文化財になったら、潰せないのでは? 改修するのにも、いちいち面倒くさい手続きをして国の許可がないとできないのでは?」ということである。そのつど、指定文化財と登録文化財は、違うということを説明するはめになる。
 登録文化財の場合は、50年以上たった建物の外観を残し、まちなみに歴史の薫り  
を残したいという趣旨で、内部は、自由に変更していいし、外部に関しても、見える
ところの4分の1以内であれば、変更は自由だし、建物の用途に応じた改修もで   きると文化財保護課で;教えていただいたことを、オーム返しすることになった。
 さらに、付け加えて「登録文化財は、メリットも少ないかわり、デメリットも無い
制度である。」と説明すると、納得した顔つきになる。





(2)長屋を「残す」ではなく「生かす」こと

8-2-1それに、「残さなければならない。」といわれると、私の中には、それは、少し違うという想いがあり、抵抗を感じる。
 それは、「長屋の現状の形を変えてしまっていい」という意味ではなく、「寿命まで生かしきって、使っていくことが、より大切なことである。」という意味である。
 これまで、築70年といえば、十二分に寿命を全うしてくれたと、思い込んでいた。
 鉄筋コンクリートで造られた建物でも、寿命が70年ぐらいであるといわれている。
 まして、コンクリートより柔らかい木で造られた建物が、先に寿命がくるのは、当   
たり前だと信じきってきた。
それに、戦前の長屋を、表現するのに、老朽という枕詞が、必ずといっていいほ
どついている。
 この長屋も、建具の開け閉めにも困る状態であり、無理に開けると、中のガラスが
はずれ、足元で木っ端微塵になったこともある。壁もひび割れし、壁板もそりかえり、埃だらけになっている。
 これでは、寿命であるといわれても、仕方が無い状態であり、そのことを疑いもしなかった。
 しかし、振り返ってみると、この長屋は、家主として ほとんど、手を入れておらず、店子任せになっていた。ほとんどの住戸が、一旦、入居すれば、数十年住み続けておられたこともあるが、いわば、生みっぱなしで、これまで、価値を生み出してくれたといえる。
「70年もたったら、一度、手を入れる時期で、そうすれば、もう数十年はもつ。」
といわれた。
 その時に、はっと気がついた。
 人間の場合、風邪を引けば薬を飲む。盲腸になれば手術をする。そうしながら、健康体を保っている。
 これまで、寿命だと思っていたのが、誤りで、木造建物は、本当は、もっと長生きなのだと気づいた。
    この長屋の状態は、完全な健康体と言えないが、棺桶に入れて燃やしたり、ゴミとして、埋立地の瓦礫にしたりするほどでは、ない。
 建物で、一部腐った柱や土台があり、家が歪んだりしているのは、人であれば、骨折をしたり、盲腸炎を起こしたりするようなものであろう。
 人であれば、骨接ぎをしたり、盲腸を切り取る手術をするように、建物であれば、それを切り取って接木をしたり、埋め木をすればいい。  
 それを、もう、寿命だといって、棺桶に入れようとしていたことを、考えると  
背筋の寒くなる思いがした。
 物を大切にする心が、戦後の大量生産・大量消費時代で、失われていることを、  
つくづく考えさせられた。古いという言葉は、同時に老朽化という冠をその頭に頂き、
それは、自動的に潰される宿命をもってい
た。そして、新しいものに置き換えられ、そのことによって、社会が繁栄し、進歩し、人々が幸福になると、信じられてきた。
 しかし、最近は、シックハウスというような問題をも引き起こすにいたっている。
 自然と共生してきた人間が、自分が便利で楽をする方向でのみ追求したことに    よって、自然と対決するようなことになってしまったのではないかと感じる。

     
 長屋の改修については、「かわいい孫の病気を治すために、名医にめぐりあえますように」と祈る気持ちで、「すばらしい大工の棟梁さんを、探し出し、外科手術をしていただきたい」と念ずるほか無いのであろう。



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[2007/05/11 19:02] | # [ 編集 ]


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